水戸中央病院 薬剤科
薬剤科の理念
薬の専⾨知識と倫理観をもって、適正かつ安全な薬物療法を提供し、社会に貢献します。
また、薬剤師の職能を活かしチーム医療、地域医療に貢献します。
病院薬剤師としての仕事はいかに安全な薬を患者に提供出来るかということが⼤命題です。内容も調剤、抗癌剤の調製、
患者へのインフォームドコンセント他多岐に渡ります。そのためには薬を通じて他職種との繋がりが重要となります。
朝の笑顔で挨拶から始まり、電話の応対、コミュニケーションの取り⽅等⼀般常識が求められます。
水戸中央病院 薬剤科の特徴
病棟回診業務
医師、看護師、リハビリ課、管理栄養⼠、社会福祉⼠と⼀緒に回診を⾏
い、患者さんの状態を多職種で話し合いながら治療⽅針を決めています。
医師の病棟回診に薬剤師も加わることにより、患者さんの病状、服薬状
況、療経過を把握でき、適切な薬物療法の処⽅提案や医師からの質問にも
迅速に対応出来ます。
医師のコメント
私は外科医として20年のキャリアがありますが、⽇進⽉歩となる最新の薬剤の最適
な組み合わせや、個々の患者様への全⾝状態を考慮した最適量は医師の知識のみでは
カバーすることは⾮常に困難です。
最新の情報をもちあわせた薬剤師と意⾒を交換しながら各患者様に最適な治療をオー
ダーメイドで提供できるようにチーム医療を実践しています。
副院長 山口 ⿓志郎
急性期疾患から慢性期疾患まで
当院は中規模病院ではあるものの、薬局業務は癌化学療法から緩和ケア、糖尿病、腎臓病、⾻粗鬆症他、多疾患に携わる
ことができます。
外来・入院 癌化学療法業務
抗癌剤の治療開始時点から、投与量設定、投与期間等レジメンのチェックを医師とともに⾏い、患者さんへの治療スケジ
ュール、副作⽤の説明を薬剤師がきちんと⾏います。
治療が開始になった患者様には、副作⽤や⽇常⽣活で困っていることを確認し、処⽅提案や服薬⽀援を⾏っています。
抗菌薬の適正使用管理
感染防⽌対策向上加算が新設され、院内感染対策を他の基幹病院と連携して⾏っています。その中で抗菌薬の適正使⽤の
為の使⽤届出と感受性、多剤耐性菌の監視等管理を⾏っています。
院内各委員会での役割
薬剤師は院内における院内感染対策委員会、医療安全管理委員会、緩和ケア‧化学療法委員会、薬事審議委員会、褥瘡委
員会にて重要な役割を担っています。
〇院内感染対策委員会
感染症の発⽣状況や抗菌薬の使⽤動向を把握した上で、病院内における更なる感染症の発⽣および拡散を防⽌するため
に、定期的な病院内の巡回や医療スタッフの教育などを⾏っています。
〇医療安全管理委員会
医療安全についてのスタッフ教育や薬剤による事故防⽌策を検討します。
〇化学療法・緩和ケア委員会
化学療法の院内レジメン登録に必要な情報収集や副作⽤防⽌策の検討、化学療法で治療中の患者様、緩和医療を⾏ってい
る患者様の⽇常⽣活、副作⽤、痛み等で困っていることを緩和するために活動しています。
〇薬事審議委員会
薬の知識や最新情報を医師や看護師などに提供し、治療の現場を⽀えています。
〇褥瘡委員会
褥瘡回診に同⾏しています。治療薬や併⽤薬による褥瘡のリスクを検討し、チームで褥瘡の治癒を⽬指しています。
〇糖尿病療養ケア委員会
糖尿病教育入院のテキスト作りや糖尿病教室の開催を通し、糖尿病についての正しい知識と情報を患者様に提供する活動
を行っています。
基本業務
調剤部門
〇錠剤
電⼦カルテシステムを導⼊し、処⽅内容を確認の上調剤を⾏います。少ない⼈数で業務を行うため、薬剤助⼿の積極登 ⽤と機械化を進めています。患者様毎の薬剤⽀援を⾏えるよう、処⽅箋へ薬剤毎の腎機能、肝機能調整コメントや検査 値印字を⾏っています。
○散剤
電⼦天秤と分包機がオーダリングと連携しており、秤量から分包までの安全な⽀援が⾏われています。
注射調剤部門
⼊院患者さんの治療に必要な注射薬の投与量‧経路‧速度‧期間‧配合変化などのチェックを⾏い、注射薬の調剤をします。
注射箋への注意事項や腎機能による減量等の印字を⾏い、誰が⾒ても確認できるような体制を整えています。
患者様ごとに点滴を個⼈セットし、病棟に払い出しています。
〇高カロリー輸液・ワクチンの調製

⾼カロリー輸液は注射薬の中で最も細菌が繁殖しやすい輸液のため、雑菌の混⼊を防ぐの にクリーンベンチという細菌の侵⼊を防ぐ装置の中で薬剤師が調製をしています。SARS- CoV-2ワクチン の調製もクリーンベンチを⽤いて⾏っています。
注射抗がん剤調製
癌化学療法に使う抗癌剤は決められた投与量、投与期間に間違いがないか
チェックし、安全キャビネット内で調製を⾏っています。
治療薬物モニタリング
抗不整脈薬、抗⽣物質など、適正量を決めるのが難しい薬の⾎液中の濃度を測定 し、適正な薬物療法を⾏うためのモニ
タリングをし、患者さんにとって最も安全で効果的な薬の使い⽅を設計し、医師に情報提供します。
入院患者の持参薬鑑別

服薬指導
患者さんが薬を正しく使えるように薬の効果‧使い⽅‧注意点などをお伝えします。また、患者さんからのお薬に関する
ご相談にも応じています。
⿇薬使⽤開始時など、投与経過の服薬指導は必ず⾏ない、インスリン注射、⾃⼰⾎糖測定の指導、⿇薬による癌性疼痛
コントロールへの関わり等と合わせて、患者、医師、看護師他スタッフとともに積極的に治療に取り組んでいます。
他部署への勉強会
他部署へ勉強会を企画、開催しています。
医療安全や感染対策、薬剤についてなど内容は様々です。
院外活動
学会発表
2023/12/3 第34回茨城県薬剤師学術⼤会
「薬局業務におけるDX活⽤」〜SMBGからisCGMへ〜
「薬剤管理サマリーを活⽤した病院間連携への取り組み」
参加学会・勉強会
⽇本化学療法学会‧⽇本環境感染学会‧⽇本医療薬学会‧⽇本緩和医療薬学会‧⽇本病院薬剤師会関東ブロック学術⼤会
‧茨城がん学会‧⽇本⽼年薬学会 他
勉強会 2023/9 「当院の外来化学療法について」
地域勉強会
ご近所ネットワーク勉強会
当院薬局が幹事となり、近隣の病院薬剤師が集まって、勉強会、情報交換を⾏なっています。
資格取得
⽇本薬剤師研修センター認定薬剤師 4名
抗菌化学療法認定薬剤師 1名
⾻粗鬆症マネージャー 1名
実務実習認定指導薬剤師 1名
薬剤科の業務日程
薬剤師インタビュー
・S・I⼊職11年⽬ 出⾝地:栃⽊県宇都宮市
⼊職したきっかけは⼤学の教授から紹介して頂いたことでした。
地元で働くことも考えていましたが、実習していた病院とは違う新しい取り組みをしている薬剤師の先輩⽅の姿を⾒てこの病院で働いていけば薬剤師として成⻑できると思い⼊職を決めました。
私は薬剤師が6年制になって2年⽬の卒業⽣で、⼤学で薬剤師の業務がどのように変わっていくのかこれからが⼤事な時期であると話があったので、期待と不安の中⼊職したことを覚えています。実際に⼊職して働いてみるとやはり業務の内容もどんどん変化していき、知識が必要とされる仕事が多くなり,医師や看護師等様々な職種と意⾒を交わすことも少しずつ増え、やりがいも⼤きくなっていましたが、それに伴い責任も⼤きくなっていきました。
そのような業務に慣れてきたある時に、ある先輩が医師の回診に同⾏し、看護師と⼀緒になって患者さんの治療について⼀⽣懸命働いている姿を⾒て、あんな薬剤師になりたいなと憧れていました。そんな時に現副院⻑である⼭⼝先⽣とお昼休みにたまたま⼀緒に⾷事する機会があり、回診同⾏についてお話したところ快く了承していただき、そこから回診に同⾏させていただけるようになりました。
回診同⾏では、医師がどのようなことで悩み、薬剤師としてどのようなことで関わっていけばいいのかを知ることができ、とても⼤事なことを学ぶことが出来たように思います。
これからも薬剤師の1⼈として成⻑することはもちろんですが、このような経験を多くしてもらえるように、今の薬局の1⼈1⼈が成⻑できるように新しい業務やサポートを出来るように⽇々頑張っていきたいと思います。
・K‧N ⼊職6年⽬ 出⾝地:茨城県水戸市
私は早く臨床現場に出て薬剤師としてのスキルを⾝につけたいと思い、まずは病院薬剤師として働こうと思いました。当時は珍しかった薬剤師が病棟回診に同⾏することや、医師をはじめとする職種間の距離が近いことを魅⼒に感じ当院に⼊職しました。
学⽣時代から「薬剤師は⽣涯勉強」と⾔われ続け、勉強嫌いな私にとってとても不安な薬剤師⼈⽣の始まりでしたが、経験豊富で頼りになる先輩⽅の指導のもと楽しみながら仕事ができていると思います。
1年⽬から病棟を担当し臨床デビューが思ったより早く感じましたが、実際に現場を⾒ることで病態や薬の効果への理解が深まります。患者さんや医師‧看護師等からの質問に応えるために勉強したりと、他愛ないことでも学ぶきっかけがあるの で、⾃然とスキルを得られる環境だと思いました。
病棟回診では他職種と連携し患者さんの情報交換しながら治療していく経験がで き、学⽣時代憧れていたチーム医療の⼀員になれていることに⽇々喜びを感じています。
先⽣⽅が薬剤師の提案に⽿を傾けてくださることが多く、実際にその提案で患者さんの症状が良くなっていく経過がみられると、とてもやりがいを感じられるとともに責任感が⾝につきます。
また、委員会での経験を通して⾃分の専⾨分野を⾒つけたりと、通常業務以外でもスキルアップのきっかけが得られると思います。現在糖尿病と褥瘡の委員会に所属しています。外来での糖尿病指導や褥瘡回診での経験を⽣かして、専⾨薬剤師‧認定薬剤師の取得に励んでいこうと思っています。